地域差はあると思いますが車は私たちの生活になくてはならないものです。脳出血を起こしてしまったら、車の運転はどうなるのでしょうか?
脳出血をおこしてしまった後の車の運転
脳出血を起こしたために自分一人で生活できなくなってしまった方、つまり介護を要する状態になった方は車の運転はできないでしょう。脳出血が軽症で何らかの症状はあるけども自分一人で生活できる状態の方は運転をしたいという方が多いです。とくに車がなくては生活できない地域に住んでいる方はなおさらです。
車の運転に関する医学的見解
基本的には我々医者は運転の許可を出すことはできず、公安委員会が出している診断書で運転可か否かの医学的見解を述べます。
てんかん
脳出血の症状とも関連するところですが、まずてんかんのリスクがあるかどうかで大きく状況が異なるでしょう。てんかんのリスクがある場合は大雑把に言って大脳の表面近くに出血した場合です。てんかんを起こしてしまった患者さんは法律に基づいてしばらくは運転ができません。てんかんを起こさなくても、大脳の表面近くに出血した場合はてんかんを予防する薬を投与されているケースが多いです。その場合、てんかんが予防できている+他の機能障害が運転する上で問題なければ運転可とするようにしています(自分の患者さんの場合)。「てんかんが予防できている」というのはてんかんを予防する薬を飲んでいて、かつ脳波で異常がない場合です。
その他の脳機能障害
その他の脳機能障害とは、麻痺、高次機能(認知能力、判断能力)、視野欠損、複視などです。麻痺、高次機能(認知能力、判断能力)についてはリハビリ科の先生やリハビリのスタッフ(理学療法士、作業療法士、言語療法士)の方と連携を取って判断します。視野欠損、複視についても眼科の先生と連携をとって判断します。それぞれの障害の程度によってケースバイケースですが具体的なケースについてはまた記載していきたいと思います。
運転可能とする判断基準
てんかんを起こすリスクが低い場合は、機能障害が運転に支障がなければ運転可とします。てんかんを起こすリスクが低いのは、脳の深部や脳幹、小脳に出血した場合です。そのような場合の機能障害には、しびれ、感覚障害、複視、顔面神経麻痺、めまい、麻痺、聴力障害、などなど様々ありますが、運転に支障がない程度であれば許可を出します。これもケースバイケースなので具体的なケースは別項目で書きたいと思います。
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