病棟で意識障害の患者さん、嚥下機能が低下している患者さんなどに胃管(胃チューブ、マーゲンチューブ、経鼻胃管、胃カテーテル)を挿入する場面は多いのではないでしょうか。すんなり入る場合もあれば、なかなか入れにくい患者さんもいます。今回は胃管挿入のコツについて書きたいと思います。
胃管挿入の基本
体位は坐位もしくは半坐位
キシロカインゼリーを塗布し鼻孔からほぼ水平に挿入
咽頭にきたら嚥下を促し、食道、胃内へと誘導する
エアーを入れて胃内の音を確認する
腹部レントゲンで胃管の先端が胃内の位置にあることを確認します。
胃管が挿入困難な場合の対処法
なかにはすんなりと挿入できない場面もあります。その場合はどのような対応手段があるでしょうか?
口から喉に指を入れて方向を調整する
口腔内に指を入れて咽頭後壁に押し付けて胃管の方向を調整しながら挿入してみる。
意識障害があって自分の歯がある患者さんの場合は思わず噛まれたりする恐れもあるので注意しましょう。
挿入する鼻の左右を変えてみる
挿入する鼻孔の左右を変更することでチューブの通り道も変わりスムーズにはいることがあります。
患者さんの体位を変えてみる
寝たきりの患者さんで体交をしている患者さんは大勢が斜めになっていることが多く、その大勢のまま挿入すると挿入困難な場合があります。
その際は、体交枕をはずして患者さんの体の向きを真っ直ぐにしたり、ベッドをフラットにしたりすると挿入できることがあります。
気管に入っているかどうかの確認
食道の前方には気管があるのでそちらに入る可能性もあります。嚥下がしっかりできていれば喉頭蓋が閉じて入ることことはないですが、嚥下が不十分な患者さんでは特に注意が必要です。
気管に入っているかどうかは、むせたりやたら咳き込む場合に疑います。またチューブの後端を自分の耳の近くに持っていって、呼吸音を確認することで食道内か気管内かを判定することもできます。
食道裂孔ヘルニアの患者さんがたまにいる
どうにもこうにも胃管があるところから進まない場合は食道裂孔ヘルニアの可能性があります。
その場合は腹部CTを撮影して確認してみるといいでしょう。
それ以上進まなければ無理はせず、胃音がして嘔吐などがなければゆっくり経管を落としてもよいと考えます。不安であれば外科の先生に相談してみてもいいでしょう。
まとめ
以上、胃管挿入困難時の対処方法を中心について書いてみました。
もし、もっといい方法などあれば教えてください。