大人でもとくにご高齢の方がよろけて転んで頭を打ったというケースが多いです。まわりにおじいちゃん、おばあちゃんがいる方は参考にしてください。
頭部打撲で確認すること
まず頭部打撲で来られた患者さんに頭以外に怪我がないかをチェックします。
例えば、転んで頭とともに腰も打ったりしている場合は腰椎骨折や大腿骨骨折の可能性もあります。
また、嘔吐、けいれん、麻痺などがないか確認します。これらの症状があった場合は頭の中に出血や脳挫傷といった悪いことがおきている可能性があります。
診察で注意することは、意識レベル、瞳孔の大きさ、眼球運動、麻痺の有無などを主にチェックします。
打撲したところに、挫創(傷)がないかチェックします。挫創があった場合は深ければ縫合の処置が必要になる事があるからです。
検査
検査は頭のCTを行います。CT検査は、頭蓋内の出血の有無や骨の状態(骨折がないか)などの情報が最もよく分かる検査なので、頭を打った場合はCT検査を優先して行います。たまに、MRI検査はしなくていいんですか?という人がいますが、頭部打撲の際はCT検査で十分です。
入院の適応
検査で頭蓋内に出血があった場合は入院となります。出血が多くて症状を出している場合は、緊急手術になることもあります。出血とは、挫傷性脳出血や急性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫などです。
出血がなくても、脳震盪が起きていれば症状の程度次第で入院になることがあります。意識消失や記憶が飛んだりしてる場合は脳震盪と考えます。
帰宅時の注意
特に診察上も頭部CT上も異常がなければ帰宅となります。
帰宅後の注意事項としては、頭を打ってから24時間以内(ほとんどは6時間以内)は遅れて異常(頭蓋内の出血など)が起こる可能性があるということです。なので、帰宅したあとに、意識障害、繰り返す嘔吐、麻痺、けいれんなどの異常がみられた場合は病院に連絡してください。
また、ご高齢の方は頭を打ったあと、脳と骨の間のスペース(硬膜下腔)にゆっくり血がたまることがあります。これを慢性硬膜下血腫といいます。それが増えてきてだんだん脳を圧迫してくると症状を起こしてきます。典型的な症状は、頭痛、痴呆症状、歩行障害などです。
生活に関する注意としては、打撲した日は入浴はせずにシャワーで流す程度にしてください。食事も軽めにして、できるだけ安静に過ごしてください。アルコールは控えてください。
傷の処置をした場合
深い傷があって縫った場合は翌日に消毒に来てもらい傷のチェックを行います。傷がきれいであれば、ガーゼも外してその日の夜から髪を洗ってもOKになります。
傷の汚染度によっては抗生物質の内服を数日してもらうこともあります。
大体1週間で抜糸になります。