脳脊髄液減少症の定義
脳脊髄液が漏れて減少することによって脳脊髄圧がさがり、さまざまな症状を呈することを脳脊髄液減少症といいます。
症状
症状として典型的なものは、起き上がったときに頭痛が強くなるという起立性頭痛です。
その他付随する症状として、首の痛み、めまい、耳鳴り、視機能障害、倦怠感、疲労感などがあります。
検査
CT・MRI
まず頭痛の検査としては頭部CT検査や頭部MRI検査を行います。典型的な画像所見としては脳の下方偏位を示す所見(前頭部頭頂部の硬膜下腔開大、硬膜下血腫、小脳扁桃下垂、脳幹扁平化、側脳室狭小化、橋前槽狭小化など)や血液量増加を示す所見(硬膜肥厚、静脈拡張、脳下垂体肥大など)があります。
RI脳槽・脊髄液腔シンチグラム
RIとは放射性同位元素です。
腰から針を指して、背骨の中にある腰部脊髄液腔にRIを注入して経時的にガンマカメラで撮影することでRIを介して髄液の流れが間接的にわかるという検査です。
この検査は最も信頼性の高い検査と考えられていますが、できる施設は限られています。
その他、MRミエログラフィーなどを行ったり、腰椎穿刺で髄液圧を調べたり、試験的に硬膜外に生理食塩水を入れて症状の改善があるかどうか調べたりして診断することもあります。
治療
治療は基本的にまず保存的治療が第一です。約2週間、安静にして十分な水分摂取をします。これで70%くらいは症状が改善するといわれています。
それでも治らない場合は硬膜外自家血注入療法を行います。いわゆるブラッドパッチと呼ばれているものです。この治療は一定の施設基準を満たしている病院でしかできないので、この治療ができるかどうかは確認して受診したほうがよいでしょう。
おわりに
脳脊髄液減少症、低髄液圧症候群は施設によっても慣れ不慣れがあり、この病気を心配されている方はインターネットで調べて、この病気をたくさん診療している施設を探すのがよいと思います。