ミッドラインカテーテルとは?適応・留置法・管理まで徹底解説
ミッドラインカテーテル(midline catheter)は、末梢静脈カテーテルと中心静脈カテーテル(PICC)の中間的な性質を持つ静脈アクセスデバイスです。挿入から管理、合併症予防まで、実際の臨床で役立つポイントをわかりやすくまとめました。
ミッドラインカテーテルとは?
- 留置期間:7〜14日程度
- 挿入部位:上腕の尺側皮静脈など
- 先端位置:腋窩静脈〜鎖骨下静脈(中心静脈には達しない)
- 確認レントゲン不要(原則)
- パワーインジェクション対応製品では造影CT検査も可能
適応
- 中期間(7〜14日)の静脈投与が必要な症例
- 抗菌薬・高浸透圧液・造影剤の投与
- 末梢静脈確保が困難な症例
- 在宅医療や緩和ケアでの使用
- 採血と投与を一本化したい場合
留置法(セルディンガー法)
- エコーガイド下に尺側皮静脈を穿刺
- ガイドワイヤー挿入 → ダイレーターで皮下拡張
- カテーテルを適切な長さ(8〜20cm)まで挿入
- 固定・ドレッシング処置を行う
※中心静脈に届かないため、胸部レントゲンは原則不要です。
製品と仕様
メーカー | 製品名 | 特徴 |
---|---|---|
BD | PowerGlide Pro | パワーインジェクション対応。造影CT可 |
Teleflex | Arrow Midline | 採血対応、単・二重ルーメンあり |
Medcomp | Medcomp Midline | 抗菌コーティング、柔軟なシリコーン素材 |
管理方法
1. 日常観察
- 挿入部の発赤・腫脹・滲出・疼痛などをチェック
- 逆血・輸液不良の有無を確認
- 発熱や倦怠感など全身の異常にも注意
- 少なくとも1日1回の記録
2. ドレッシング交換
- 透明ドレッシング:週1回、もしくは剥離時
- ガーゼ使用時:48時間以内に交換
- 消毒はクロルヘキシジン(CHG)推奨
3. フラッシュ・ロック
- 1日1回以上、生食10mLを陽圧でフラッシュ
- 使用しない場合はヘパリンロック(製品仕様に従う)
4. 採血時の注意
- 廃棄血5mLを抜いてから採血
- 採血後は生食でフラッシュ
5. 抜去の判断
- 発赤・腫脹・閉塞などの異常がある場合
- 14日以上使用している場合は再評価
合併症と注意点
- 深部静脈血栓症(DVT)に注意。腫脹や疼痛を早期に確認
- 感染症の予防には無菌操作と観察が重要
- 閉塞・血管外漏出があれば早期対応を
まとめ
ミッドラインカテーテルは、感染リスクや血栓症リスクを抑えつつ、中期の静脈投与に適した信頼性の高い選択肢です。パワーインジェクション対応製品では造影CTも可能で、用途が広がっています。適応、手技、管理法を正しく理解し、安全に運用することが大切です。
次回はPICCとの比較や選択アルゴリズムについて解説予定です。ご質問・ご意見があればコメント欄でお知らせください。