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ミッドラインカテーテルとは?適応・留置法・管理まで徹底解説

投稿日:2025年4月1日 更新日:

ミッドラインカテーテルとは?適応・留置法・管理まで徹底解説

ミッドラインカテーテル(midline catheter)は、末梢静脈カテーテルと中心静脈カテーテル(PICC)の中間的な性質を持つ静脈アクセスデバイスです。挿入から管理、合併症予防まで、実際の臨床で役立つポイントをわかりやすくまとめました。

ミッドラインカテーテルとは?

  • 留置期間:7〜14日程度
  • 挿入部位:上腕の尺側皮静脈など
  • 先端位置:腋窩静脈〜鎖骨下静脈(中心静脈には達しない)
  • 確認レントゲン不要(原則)
  • パワーインジェクション対応製品では造影CT検査も可能

適応

  • 中期間(7〜14日)の静脈投与が必要な症例
  • 抗菌薬・高浸透圧液・造影剤の投与
  • 末梢静脈確保が困難な症例
  • 在宅医療や緩和ケアでの使用
  • 採血と投与を一本化したい場合

留置法(セルディンガー法)

  1. エコーガイド下に尺側皮静脈を穿刺
  2. ガイドワイヤー挿入 → ダイレーターで皮下拡張
  3. カテーテルを適切な長さ(8〜20cm)まで挿入
  4. 固定・ドレッシング処置を行う

※中心静脈に届かないため、胸部レントゲンは原則不要です。

製品と仕様

メーカー 製品名 特徴
BD PowerGlide Pro パワーインジェクション対応。造影CT可
Teleflex Arrow Midline 採血対応、単・二重ルーメンあり
Medcomp Medcomp Midline 抗菌コーティング、柔軟なシリコーン素材

管理方法

1. 日常観察

  • 挿入部の発赤・腫脹・滲出・疼痛などをチェック
  • 逆血・輸液不良の有無を確認
  • 発熱や倦怠感など全身の異常にも注意
  • 少なくとも1日1回の記録

2. ドレッシング交換

  • 透明ドレッシング:週1回、もしくは剥離時
  • ガーゼ使用時:48時間以内に交換
  • 消毒はクロルヘキシジン(CHG)推奨

3. フラッシュ・ロック

  • 1日1回以上、生食10mLを陽圧でフラッシュ
  • 使用しない場合はヘパリンロック(製品仕様に従う)

4. 採血時の注意

  • 廃棄血5mLを抜いてから採血
  • 採血後は生食でフラッシュ

5. 抜去の判断

  • 発赤・腫脹・閉塞などの異常がある場合
  • 14日以上使用している場合は再評価

合併症と注意点

  • 深部静脈血栓症(DVT)に注意。腫脹や疼痛を早期に確認
  • 感染症の予防には無菌操作と観察が重要
  • 閉塞・血管外漏出があれば早期対応を

まとめ

ミッドラインカテーテルは、感染リスクや血栓症リスクを抑えつつ、中期の静脈投与に適した信頼性の高い選択肢です。パワーインジェクション対応製品では造影CTも可能で、用途が広がっています。適応、手技、管理法を正しく理解し、安全に運用することが大切です。

次回はPICCとの比較や選択アルゴリズムについて解説予定です。ご質問・ご意見があればコメント欄でお知らせください。

-医療, 病棟管理, 研修医

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