【専門医が解説】腸脳相関とは?心と体をつなぐ“腸”のチカラ
私たちの「こころ」と「からだ」は、実は腸を通じてつながっていることをご存じでしょうか?
この仕組みは腸脳相関(ちょうのうそうかん)と呼ばれ、近年、医療や脳科学、精神医療の分野でも注目を集めています。
この記事では、腸脳相関の基本から最新の研究、そして脳神経外科との関係まで、やさしく解説します。
腸脳相関とは?
腸脳相関(gut-brain axis)とは、腸と脳が神経・免疫・ホルモン・代謝物などを通じて相互に影響し合うしくみのことを指します。
具体的には、
- 迷走神経:脳と腸を直接つなぐ神経回路
- 腸内細菌:セロトニンやGABAなどの神経伝達物質を産生
- 免疫系:腸の炎症が脳にも影響を与える
- 代謝物:腸内細菌が作る物質が脳に作用
腸脳相関に関する代表的な研究
最新の研究では、腸内細菌と脳の病気や心の状態に深いつながりがあることがわかってきました。
1. パーキンソン病と腸内細菌
Research Progress of Microbiota-Gut-Brain Axis in Parkinson’s Disease(2023)では、腸で生じた異常タンパクが迷走神経を通じて脳に到達し、パーキンソン病を引き起こす可能性があると報告されています。
2. うつ病と腸内環境
The role of gut microbiota in depression(2023)では、うつ病患者では腸内環境の乱れがみられ、神経伝達物質の生成にも影響しているとされています。
3. 脳腫瘍と腸内細菌
一部の研究では、腸内細菌の状態が脳腫瘍に対する免疫療法の効果に関与する可能性も示唆されています。
脳神経外科との関係
腸脳相関は、脳神経外科の現場でも無関係ではありません。以下のような疾患と関連が報告されています。
- パーキンソン病:腸内環境が症状や手術(DBS)後の効果に影響。
- 外傷性脳損傷:腸のバリアが破綻し、感染や炎症のリスク増加。
- 脳腫瘍:治療による腸内環境の変化が免疫応答に影響。
- 脳卒中:腸内細菌の乱れが術後合併症のリスク要因となる。
日常生活でできる腸脳ケア
- 発酵食品をとる(ヨーグルト、味噌など)
- 食物繊維を意識してとる(野菜、海藻など)
- よく噛んで食べる
- 睡眠と運動のリズムを整える
こうした生活習慣が腸内環境を整え、脳の健康にもつながると考えられています。
まとめ
腸は単なる消化器官ではなく、脳と深く関わる“もうひとつの司令塔”です。
脳神経外科の分野でも、腸内環境は病態の理解や治療方針の検討に役立つ可能性があり、今後さらに注目されるテーマになるでしょう。