【てんかん治療】レベチラセタム(イーケプラ)の血中濃度は測定すべき?
抗てんかん薬の中でも比較的使いやすいとされるレベチラセタム(LEV、商品名:イーケプラ)。しかし、「血中濃度は測るべきか?」「いつ測ればいいのか?」と迷うこともあるのではないでしょうか。
この記事では、臨床の実感とガイドラインに基づき、LEVの血中濃度測定の意義やタイミング、参考値についてわかりやすく解説します。
結論:レベチラセタムの血中濃度は「必要に応じて測定」
レベチラセタムは、基本的には血中濃度モニタリング(TDM)を必須としない薬剤です。ただし、以下のような場面では測定が強く推奨されます。
- 発作が再発したとき
- 剤型変更(特にジェネリック変更)時
- 傾眠やイライラなど副作用が出現したとき
それ以外でも、年1回程度の確認を行うことで安心感が得られるケースもあります。
血中濃度を測る目的とは?
抗てんかん薬のTDMの主な目的は以下の通りです。
- 十分な量を服用できているかの確認
- 発作の原因が用量不足か、薬剤の効果そのものかを判断するため
- 服薬アドヒアランス(服薬遵守)の評価
- 副作用と血中濃度の関係を把握するため
LEVは相互作用が少なく用量調整もしやすい薬剤ですが、それでもTDMが診療の一助になる場面はあります。
目安となる血中濃度
- 参考濃度域:12~46 μg/mL(てんかん診療ガイドライン2018追補版)
- 実感としての目安:20~30 μg/mL程度が「まずまず」の印象
- 30 μg/mL以上:高めと感じることがあり、副作用(特にイライラ)に注意
ただし、これはあくまで参考濃度域であり、治療域ではありません。LEVは個人差が大きく、臨床症状と濃度を照らし合わせて判断する必要があります。
測定のタイミングと評価方法
- 測定は定常状態(投与開始後2~3日以降)に実施
- トラフ値(次回投与直前)を基本として測定
- 日常臨床では参考値よりやや高めの値を見ることが多い
副作用が強い場合や、明らかな高濃度でなければ、治療域を多少超えていても問題視しないケースもあります。
ガイドライン上の位置づけと他薬との比較
日本TDM学会のガイドラインでは、血中濃度測定の重要性は、ラモトリギン(LTG)>レベチラセタム(LEV)とされています。これは、LTGが代謝や相互作用の影響を受けやすく、TDMがより必要とされる薬剤であるためです。
まとめ:TDMは「必須ではない」が「武器になる」
レベチラセタムの血中濃度は、すべての患者でルーチンに測定する必要はありませんが、発作再発、副作用、剤型変更、服薬アドヒアランスの確認が必要な場面では、有用な判断材料となります。
「困ったときに使えるツール」として、TDMをうまく活用していくことが現実的なアプローチです。
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